今朝の朝食はモモ缶のヨーグルト和えでした。
昂くんが私のリクエストで作ってくれました。
前日帰りが遅かった(朝方4時過ぎ;;;)ので、朝は食欲ナイからと言ったら、リクエスト通りに。。。
んー、最高☆
さて、一昨日から再開しております「ヒコのこと」シリーズ。
今日は昨日の「付き合うキッカケ5 ~差し込む光~」の続きです。
前回同様、結構長めに書いてみました。
そして、ようやく昂くんが登場!(前振り長すぎ??;)
懲りずに見てやってください。
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ヒコからの呼び出しを食らい、半ば勢いでOKを出してしまった私・雪野は内心怯えていた。
待ち合わせ場所は公共の場だが、キレると何をするかわからないヒコ。
口が達者で、いつも言いくるめられてきた為、今回も同じようになるのではないかと不安でしょうがなかった。
そんな時、昂の顔が浮かんだ。
私が困った時や苦しい時、いつも適切で納得のできる答えへと導いてくれたヒト。
尊敬できる兄のような存在。
彼なら・・・
彼だったら話せるかも知れない、今までのことを・・・。
携帯電話を手に取った。
さっきまでヒコと話をしていた携帯を。
彼に関するものには、もう何も触れたくなかったが、それが昂に代わると思うと、平気だった。
電話帳から昂の番号を検索する。
電話を鳴らす。
1コール目・・・2コール目・・・・・・・
「もしもし?」
久しぶりに聞く、安心する声。
優しいトーン、さっきまで恐怖を与えていた音とは違う声。
「もしもし、おにいちゃん?・・・雪野ですけど・・・元気?」
「おー、久しぶりー。うん、元気よ。そっちは?・・・・・・どうしたん??」
・・・気が緩んで泣いてしまった。
泣きながら、今までの経緯を話した。
浮気のこと、暴力のこと、今家を逃げ出していること、呼び出されてどうしていいか解らないこと・・・。
昂は「うん・・・うん・・・」と相槌を打つ程度で私が話し終わるのを待っていた。
ひとしきり、状況を説明し終わり、昂が口をひらく。
「そうか・・・大変だったんだね・・・。今からその彼(ヒコ)に会いに行くの?」
「うん・・・でも、一人で会うのは恐い・・・。何されるかわからないから・・・。」
「一緒についていこうか?」
彼から申し出てくれた。
ただ、その頃、彼はまだ麻依さんと付き合っていた。
「ついてきて欲しいけど・・・もしかしたら彼(ヒコ)から手を出されるかもしれないよ・・・。お兄ちゃんが傷つくのも恐いよ・・・・」
自分で電話をしておきながら、他人の彼氏を危険な目にあわせてもいいものか・・・気持ちは半々だった。
「大丈夫だよ。ある程度の腕っ節は持ち合わせてるつもりだし。人間的に成長したから少々のことじゃ、俺から手を上げることはないから。・・・ね?」
「・・・・うん・・・・・。」
30分後、昂の家の近くで待ち合わせする事になった。
時計は既に23時を回っていた。
昂は次の日も朝早いというのに・・・。
ファミレスから少し離れた小学校で落ち合うことになった。
校庭の隅のコンクリートに腰をかける。
季節は冬。
セメントの無機質な冷たさが身体を襲う。
身体が震える。
寒さからなのか、恐怖からなのか解らなかった。
5分ほど待つと、頭の上から声がした。
見上げると優しい笑顔がこちらに向けられている。
昂だ。
「待たせて、ごめんね。」
「んーん、私も今来たところだから・・・こっちこそごめんね、お兄ちゃん」
「いいんだよ。可愛い妹分の頼みだからね。」
そういいながら笑顔を作り、私の頭を撫でる。
この人はこちらの気持ちを汲んで、安心させる術を知っている。
身長も高く、身体も作りこまれていた。
顔も、若干彫りの深い顔立ちに切れ長の目、サラサラした短めの髪という『男前』だ。
そして優しくて大人。
物事をまっすぐに捉えることが出来る人。
この人が彼氏だったらいいのに・・・。
何度この言葉を押し込めてきただろう。
それなら気持ちを伝えてしまえばよかったのかもしれないが、彼には4年も付き合っている彼女がいる。
彼を困らせたくなかったし、何より伝えてしまった後、拒絶されるのが恐かった。
それまで、彼を兄と思うことで気持ちを整理してきた。
「コノ人ハ、オ兄チャンナンダ」
自分の中でこの言葉を巡らせ、暗示をかける。
そうすることでしか、気持ちを抑えることが出来なかった。
一通りの経緯を二人でおさらいし、ヒコと待ち合わせしているファミレスに向かう。
中は暖房の効いている為、冷えたからだが少しずつ暖められていく。
そんな中
ヒコを見つけた。
手の中で握りこぶしを無意識に作る。
膝が震えていた・・・。
一時期離れていたから、少しは恐怖感が納まっているのだろうと思っていたのに・・・。
ヒコがこちらに気づき、私たちを見上げる。
一時の沈黙・・・
「・・・で、何?」
先に口を開いたのはヒコだった。
「・・・だからさ・・・別れてよ。」
「何で俺がその件で折れなくちゃいけないわけ。雪野の自分勝手のせいで俺が嫌な思いをしなきゃいけないわけ。そんなの了承するわけないだろ」
「でも、もう気持ちがないんだから別れるしかないでしょ。私はアナタに恐怖感しかないんだから。」
そんなやり取りが続く。
ヒコの言い分としては、全て私の思い通りになるというのが気に入らないらしい。
私が頭が悪いから、言葉で言っても解らないから手を上げるんだと。
男女関係ないんだと。
たしかそんな感じのことを言っていた。
まるで、私が躾の悪い犬のよう。
私は彼のペットじゃないのに・・・。
馬鹿にされ、罵倒されて、言い返すとそれ以上の言葉を突き刺してくる。
段々と・・・
自分の存在がいけないのかと・・・
“雪野”という存在が居ないような気がして・・・。
ヒコの“所有物”であって、私という存在ではないんじゃないかと・・・。
そして、彼の言葉が恐くて、何も言えなくなってくる。
私は只々、自分の手を血が出るほど握り締め、痛みで自分を確認するしか出来なかった。
「私」という存在はいらないのでしょうか?
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